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    <title>日々辞典【にちにちじてん】</title>
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    <title>煩悩の種 【ぼんのうのたね】</title>
    <description>この国ではもうじき、百八つの鐘の音が響く。

それまでに私がしておかなければならないのは、地下にしまってある茶色の小瓶を取り出して、机の上にその中身を広げておくという事。

白熱灯の明かりに照らされた、色とりどりの丸い粒。

それは、日々様々な場所で拾...</description>
<content:encoded><![CDATA[
この国ではもうじき、百八つの鐘の音が響く。<br />
<br />
それまでに私がしておかなければならないのは、地下にしまってある茶色の小瓶を取り出して、机の上にその中身を広げておくという事。<br />
<br />
白熱灯の明かりに照らされた、色とりどりの丸い粒。<br />
<br />
それは、日々様々な場所で拾い続け、一年かけて集まった錠剤の数々である。<br />
その殆どは、透明の膜と銀色の箔とに包まれ、色と質の鮮度が変わらず保たれている。<br />
<br />
その中の一つを指でつまんで開けてみる。<br />
<br />
プチ、と音をたてて転がる小さな一粒。<br />
<br />
私の知らない、誰かの悩みを解決するために必要だったこの粒は、すでに必要とされるべき存在を失いつつも、その効力はいまだ失わず存在し続けているのだが、その着地点というものを想像した時、なにかしらの機会、儀式のようなものが必要だと感じ、たとえば、鐘の音に合わせて封を開け、その効能について、またその効能を必要とする人について思いを巡らせるというのはどうだろうか、と考えた。<br />
<br />
幸い、この部屋の本棚には薬剤についてのあれこれを調べる辞典というものがある。<br />
今まで一度も開く機会のなかった分厚いそれを手に取り、試しに、先ほど開けた錠剤について調べてみる。<br />
<br />
<br />
【ニトロペン】 狭心症,心筋梗塞,心臓喘息,アカラジアの一時的緩解<br />
爆弾の原料であるニトログリセリンはこのグループの代表的な薬剤で、狭心症の特効薬として用いられますが、作用時間が短いため、近年では亜硝酸化合物の硝酸イソソルビド、リン酸トロールニトラートなどが多く用いられています。<br />
<br />
<br />
私が必要としないこの一粒を、必要とする誰かは存在し、<br />
その誰かの持つ、たくさんの粒の一つはここに在り、<br />
こんな風にして今夜、知らない誰かと私は繋がる。<br />
<br />
もうすぐ、除日の夜の鐘が鳴る。<br />
<br />
私は、瞼を閉じて、街に耳をかたむける。<br />
煩悩を消し去る音と共に、百八つの粒が解き放たれたら、私は両手でそれらを掬い、外へと出よう。<br />
そうして、夜空に輝く星の下、手の中の粒は土へと埋めよう。<br />
<br />
時を経て、地と混ざり、やがて気化して空へと上り、悩みを抱えるあらゆる人が、知らず知らずにその成分を吸いこんで、知らぬ間に緩解される時が訪れることを想って。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
※注　　このページのほとんどは、フィクションで出来ています。<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-12-31T18:10:34+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=914199">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=914199</link>
    <title>さようであらねばならぬのなら 【さようであらねばならぬのなら】</title>
    <description>ゆく年の、締めくくり方を考えていたところへ届いた、講談の会の葉書。

そうだ、「南部坂雪の別れ」を聴きにゆこう。

講談の世界では、十二月を「義士月」と云うそうな。

時は元禄十五年極月の十四日、言わずと知れた赤穂義士討ち入りの日。
その月にちなんで、...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ゆく年の、締めくくり方を考えていたところへ届いた、講談の会の葉書。<br />
<br />
そうだ、「南部坂雪の別れ」を聴きにゆこう。<br />
<br />
講談の世界では、十二月を「義士月」と云うそうな。<br />
<br />
時は元禄十五年極月の十四日、言わずと知れた赤穂義士討ち入りの日。<br />
その月にちなんで、十二月の講談の会では、赤穂義士伝が多く語られる。<br />
中でも、この「南部坂雪の別れ」は、私の好きな名場面の一つで、<br />
<br />
浅野内匠頭の妻である瑤泉院に、腰抜けであると思われていた大石内蔵助が、実は密偵の目を欺くために討ち入りの計画を伏せ遊び呆けていたのだという事を、四十七士の連判状を通じて伝えるといった一連。<br />
<br />
瑤泉院は連判状を目にした途端、<br />
これまでの苛立ちや怒りという感情から、やはり主君の仇を討ってくれるのだという喜びと、最期の挨拶に訪れた内蔵助に充分なもてなしをしてやれなかった悲哀とが混在した感情へと変わる。<br />
<br />
それと対にして、内蔵助をはじめ、これまで犬侍とこけにされ続けた浪士達の、強く厳しい覚悟がひしひしと伝わってくる。<br />
<br />
一巻の連判状を境として、変わる心模様のその振り幅の大きさに、この小さき心も激しく揺れ動く。<br />
<br />
去りゆく年、過ぎゆく私、さようであらねばならぬのなら、またいつの日か。<br />
<br />
<br />
<br />
講談に 武士の名残りを 聴きにゆき あまき切羽を また詰めなをす<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-12-21T23:57:15+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=906306">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=906306</link>
    <title>玉吸のずずず 【ぎょくすいのずずず】</title>
    <description>沈む陽を追っかけて
転げつつ坂道下って
黄身に会いに行く

心ここにあらず
いよいよ「一福」の赤い灯と
青の暖簾が眼に浮かぶ

変わらずたなびく御食事処の
御食と事処をパッと割る
のぞむ黄身まであと少し

両の手で、そうっと開く引き戸のすすす

いつも...</description>
<content:encoded><![CDATA[
沈む陽を追っかけて<br />
転げつつ坂道下って<br />
黄身に会いに行く<br />
<br />
心ここにあらず<br />
いよいよ「一福」の赤い灯と<br />
青の暖簾が眼に浮かぶ<br />
<br />
変わらずたなびく御食事処の<br />
御食と事処をパッと割る<br />
のぞむ黄身まであと少し<br />
<br />
両の手で、そうっと開く引き戸のすすす<br />
<br />
いつもの「毎度」と、いつもの「玉吸」<br />
交わしおえたら、しばしの待つ身<br />
<br />
待つのは案外得意なほう<br />
待つことの多かった半生は<br />
得をしたのか損をしたのか<br />
<br />
「なんのまだまだ」と、棚の上の招きが笑う<br />
「ひよっ子が失礼を」と、はにかむ私の目の前に<br />
「お待っとさん」と置かれる小振りの椀<br />
<br />
透きとおった出汁に沈んだまあるい玉を<br />
のぼせた海苔が抱きしめる<br />
それを囃すは、葱の雁<br />
<br />
両の手で、そうっと啜る玉吸のずずず<br />
<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-11-30T09:33:38+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=901311">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=901311</link>
    <title>云鬼 【たましい】</title>
    <description>　　　そ　　 木幾　　 月危　　 木幾
　　　れ　　 木戒　 　　く 　　木戒　
　　　で　　　 に　 　イ夢 　　　の　　
　　　も　　　 な　　 　く　 　　よ　　　
　　青争　　 　れ　 　シ肖　 　　う　 
　　　か　　　 ず　　 　え　 　　で 
　　　の　　 ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
　　　そ　　 木幾　　 月危　　 木幾<br />
　　　れ　　 木戒　 　　く 　　木戒　<br />
　　　で　　　 に　 　イ夢 　　　の　　<br />
　　　も　　　 な　　 　く　 　　よ　　　<br />
　　青争　　 　れ　 　シ肖　 　　う　 <br />
　　　か　　　 ず　　 　え　 　　で <br />
　　　の　　 糸冬　 　　た　 　　あ 　　<br />
　　シ毎　　　 い　　 　の　　 　り　　<br />
　　　を　　 　の　 　　で　 　　た　 <br />
　　光軍　 　土鬼　 　　し　 　　い　　<br />
　　　き　　 　は　　 　た　　 　と　<br />
　　シ票　　　 　、　 　　　 　原頁　<br />
　　　う　　　　　　　　　 　 　 う<br />
　　　　　　　　　　　　 　  　     云鬼<br />
　　　　　　　　　　　　　 　 　 は<br />
　 　　　　　　　　　　　　　 　 　、<br />
　　<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-11-18T00:17:47+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=896221">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=896221</link>
    <title>黄な子 【きなこ】</title>
    <description>誰かの落っことした黄色い絵の具

待てよ、私が拾わずともよいのか否か

だからといって、

あはれに思って拾ったところで、知らぬまに固まってしまうのがおち

ここがきっと思案のしどころ

いきおいよく踏んづけて、道に黄色い花咲かせるか

こだしに点々し...</description>
<content:encoded><![CDATA[
誰かの落っことした黄色い絵の具<br />
<br />
待てよ、私が拾わずともよいのか否か<br />
<br />
だからといって、<br />
<br />
あはれに思って拾ったところで、知らぬまに固まってしまうのがおち<br />
<br />
ここがきっと思案のしどころ<br />
<br />
いきおいよく踏んづけて、道に黄色い花咲かせるか<br />
<br />
こだしに点々しるしをつけて、誰かをどこかへ案内するか<br />
<br />
いやそれよりも、<br />
<br />
両手をしっかり黄色に染めて、<br />
<br />
私はここから生まれてきたと、嘯くのがちょうどいい<br />
<br />
身体中を黄色に染めて、<br />
<br />
こんな具合に生まれてきたと、鳴いてしまうのがちょうどいい<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-11-04T23:05:10+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=895004">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=895004</link>
    <title>みがきましょう 【みがきましょう】</title>
    <description>あしたは靴をみがきましょう

晴れたら芝生の真ん中で

雨なら椅子に腰かけて

これまでの道を慈しみ

これからの道に思いを馳せて


あしたは靴をみがきましょう

色が褪せてくる前に

皺がひびてくる前に

私の重みを堪える所に心して

私の裏と星の...</description>
<content:encoded><![CDATA[
あしたは靴をみがきましょう<br />
<br />
晴れたら芝生の真ん中で<br />
<br />
雨なら椅子に腰かけて<br />
<br />
これまでの道を慈しみ<br />
<br />
これからの道に思いを馳せて<br />
<br />
<br />
あしたは靴をみがきましょう<br />
<br />
色が褪せてくる前に<br />
<br />
皺がひびてくる前に<br />
<br />
私の重みを堪える所に心して<br />
<br />
私の裏と星の表がくっつく所をよおく見て<br />
<br />
<br />
あしたは靴をみがきましょう
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-11-02T03:17:25+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=889196">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=889196</link>
    <title>はじめてのフィルム 【はじめてのふぃるむ】</title>
    <description>ようやく訪れたこの瞬間
深呼吸して白手袋を両の手に
今、映写室中央のオートリワインダーの前に立つ


巻ごとに分かれて到着したフィルムを、一本に繋ぎ合わせる作業がフィルムメイキング。
わたしの中では、映写業務の花形作業だとおもっている。
リーダーからは...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ようやく訪れたこの瞬間<br />
深呼吸して白手袋を両の手に<br />
今、映写室中央のオートリワインダーの前に立つ<br />
<br />
<br />
巻ごとに分かれて到着したフィルムを、一本に繋ぎ合わせる作業がフィルムメイキング。<br />
わたしの中では、映写業務の花形作業だとおもっている。<br />
リーダーからはじまって、ブルーマイラーとよばれるクリアフィルム、光を透過しないブラックマイラー、トレーラー（予告編）、パルスつきブラックマイラー、サウンドロゴ、ハードロックトレーラー（本編にもとから付属されている予告編）、そして本編、とつづく上映フィルムの構成や、その扱い、スプライス（接合）の正確さ、などなど複合的な技能を要するからだ。<br />
<br />
<br />
黄色のスイッチを押す<br />
ゴォンゴォンと動きだす円盤<br />
やや震える指をフィルムの端にあて、息を潜めて目を凝らす<br />
<br />
まだキセノンランプで照らされぬ、フィルム本来の美しさ<br />
闇よりも濃い黒が、透明度の高い彩りが、ここに流れる<br />
<br />
幾倍にも拡大されるその前の、純度の高い一コマは、もはや、<br />
芸術という域を超え、魔術に近い存在感をもっている。<br />
<br />
フランスで映画が発明されてから、これまでに何百、いや何万回と、世界中で行われてきたフィルムメイキング。<br />
私にとっては、いま手のひらを流れる「ブーリン家の姉妹」が、はじめての経験となる。<br />
<br />
<br />
今、手の中に、ヘンリー８世が現れたような<br />
<br />
今、アーチのむこうに、テューダー朝の雑踏が見えたような<br />
<br />
そして今、黒髪の女性が振り返り、私を見つめて、去っていった<br />
<br />
１０台の映写機が巻き起こす、風の渦の真ん中で、わたしは今日、時代と国を超えてアン・ブーリンと出逢ったのであった<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-10-19T09:30:41+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=886461">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=886461</link>
    <title>綻びの美 【ほころびのび】</title>
    <description>秋晴れの朝、やや早起きしてシャツの穴あきをとり繕う。
夏の木の葉よりも落ち着いた、秋の落ち葉よりは鮮やかな、緑のフランネルの肘の穴。

小学校家庭科以来の縁取り縫いは、
記憶のひだに隠れていた彼の先生を思い出す。

「少々不細工だが、まあ合格。」

心...</description>
<content:encoded><![CDATA[
秋晴れの朝、やや早起きしてシャツの穴あきをとり繕う。<br />
夏の木の葉よりも落ち着いた、秋の落ち葉よりは鮮やかな、緑のフランネルの肘の穴。<br />
<br />
小学校家庭科以来の縁取り縫いは、<br />
記憶のひだに隠れていた彼の先生を思い出す。<br />
<br />
「少々不細工だが、まあ合格。」<br />
<br />
心にゆとりある時の縫いは、たいてい上手くいく。<br />
<br />
<br />
<br />
右肘の 彼の仕業の綻びを　吾が事として そっと繕う<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-10-12T09:33:32+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=883717">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=883717</link>
    <title>着々 【ちゃくちゃく】</title>
    <description>兄のおさがり・小中高の学制服・水泳の水着・少林寺の道着・鉄工所の工場着・和食屋の割烹着・喫茶店のエプロン姿・回転寿司屋の白衣・墨国料理のユニフォーム・ショーパブの黒づくめ・舞台の衣装・警備員の制服・おもちゃ屋は私服・キャラクターの着ぐるみ・ＴＶ局の動き...</description>
<content:encoded><![CDATA[
兄のおさがり・小中高の学制服・水泳の水着・少林寺の道着・鉄工所の工場着・和食屋の割烹着・喫茶店のエプロン姿・回転寿司屋の白衣・墨国料理のユニフォーム・ショーパブの黒づくめ・舞台の衣装・警備員の制服・おもちゃ屋は私服・キャラクターの着ぐるみ・ＴＶ局の動きやすい格好・ビデオ屋のシャツネクタイ・ホテルの蝶ネクタイ・バレエのタイツ・ティーサロンのサロン・司会の正装・レンタカーの上下・ギャラリーのスーツ・プライベートの浴衣・映画館のつなぎ・能楽堂の紋付袴・活動弁士のシルクハットに燕尾服・今はパジャマ
]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-10-06T01:44:59+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=882100">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=882100</link>
    <title>靴見泣質 【くつみてなくたち】</title>
    <description>船が沈没する映画では泣かなかった私だが、靴を見て泣いたことがある。

靴は泣ける。

いや、どんな靴でも泣けるわけではない。

おすすめは、聞いたことないメーカーのスニーカー。
これを中年の紳士が履いていたりなんかすれば即時、号泣できる。

何故泣ける...</description>
<content:encoded><![CDATA[
船が沈没する映画では泣かなかった私だが、靴を見て泣いたことがある。<br />
<br />
靴は泣ける。<br />
<br />
いや、どんな靴でも泣けるわけではない。<br />
<br />
おすすめは、聞いたことないメーカーのスニーカー。<br />
これを中年の紳士が履いていたりなんかすれば即時、号泣できる。<br />
<br />
何故泣けるのか、<br />
これを突き詰めると、結構奥が深い。<br />
<br />
まず、スニーカーであること。<br />
<br />
これから動くと決めた者のみが手にする、もとい、足にするアイテム。<br />
この先行き不安なご時世に、まだ動く、すなわち、まだ生きると決めた意思が大いに伝わってくる。<br />
<br />
次に、聞いたことないメーカーであること。<br />
<br />
製造国不明。強度も品質も保証されていない物に、我が身を委ねるその心意気。<br />
または経済的限度の有無。<br />
<br />
最後に、中年であること。<br />
<br />
その身に迫る老化を感じつつ、上記もろもろに抗う強さ、儚さ、それから希望。<br />
<br />
一度、父親の安全靴を肴に泣きを試みた。<br />
一見、泣ける要素が多分に含まれていそうだったが、いまいち泣けなかった。<br />
<br />
となると、挙げた３つの要素の中で、スニーカーであるというのが一番大事だということが分かる。<br />
<br />
安全靴は、おもに仕事の時に履く靴である。<br />
それに引き換えスニーカーは、運動するとき、のんびり散歩するとき、仕事するとき、などなど用途が多岐に渡り、それだけに複合的な「生きる」というメッセージが伝わってくる。<br />
<br />
こう考えてみると、靴とひと言に言ってもたくさんの情報がつまっているものである。<br />
<br />
よく、一流のホテルマンは客の靴を見てその人を見るというが、<br />
それはつまり、値段の高い靴を履いているかどうかをみているのではなく、その人のこれまでとこれからの意思が如実に現れている判断材料をチェックしていたのだ。<br />
<br />
安い靴でも大事に履いていれば、物を大事にする人だということが分かり、<br />
ワンシーズンのみで廃れてしまいそうなデザインだと、その人のお金の使い方が見えてくる。<br />
<br />
では服もそうかといえば、必ずしもそうではないように思う。<br />
<br />
少しはそういった（靴と似たような）事が分かるかも知れないが、服はその耐久年数が短すぎて、情報（真実）が紛れてしまいがちである。<br />
<br />
腕時計なら近いところもあるが、誰もが必要とするアイテムではない。また袖に隠れて見えづらい。<br />
<br />
<br />
ま、そういうわけで、靴は泣ける。<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-10-01T23:37:20+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.kozakitaiji.com/?eid=878358">
    <link>http://blog.kozakitaiji.com/?eid=878358</link>
    <title>□ 【しろのしかく】</title>
    <description>あちら立てればこちらが立たず、縦糸だけでは布地は織れず

首傾げつつ、再び琴線を横糸にする

暗闇に丁度の白が広がるのであらば</description>
<content:encoded><![CDATA[
あちら立てればこちらが立たず、縦糸だけでは布地は織れず<br />
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首傾げつつ、再び琴線を横糸にする<br />
<br />
暗闇に丁度の白が広がるのであらば
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    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-09-23T20:34:35+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
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    <title>相楽園 【そうらくえん・あいたのしむその】</title>
    <description>雨あがり、日は沈み、遠く聞こえる商船の汽笛と相まって、カタカタカタと映写機が廻りはじめた野外上映会。

会場は、神戸・元町近く、明治時代に財を成した小寺泰次郎氏の邸宅として造築、その後神戸市に譲渡され、現在まで続く日本庭園・相楽園。

神戸といえば、知...</description>
<content:encoded><![CDATA[
雨あがり、日は沈み、遠く聞こえる商船の汽笛と相まって、カタカタカタと映写機が廻りはじめた野外上映会。<br />
<br />
会場は、神戸・元町近く、明治時代に財を成した小寺泰次郎氏の邸宅として造築、その後神戸市に譲渡され、現在まで続く日本庭園・相楽園。<br />
<br />
神戸といえば、知る人ぞ知る、映写機の前身といえるキネトスコープが日本で初公開された地で、実際、この相楽園から数十メートル下った所に、初公開の会場となった名士達の集う社交場・神港倶楽部があったとされている。<br />
<br />
これは憶測だが、当時この界隈で一、二を争うほどの影響力を持っていた小寺泰次郎氏は、その初公開の場に居合わせたのではと思われる。<br />
<br />
それから約110年の時を経て、幻燈機や種板、手動式映写機にフィルムを持ってこの地を訪れた私たち。<br />
<br />
小寺家御用達の馬車が現在でも大切に保管されている、煉瓦造りの厩舎前に集った方々に、文明開化、明治の雰囲気を少しでも感じていただこうという想いがあった。<br />
<br />
「まずご覧に興じまするは、遥か遠き米国より届きましたフヰルムでございます！」<br />
<br />
演目は、厩舎前という会場にちなみ、馬車の登場する作品「ハロルド・ロイド主演　スピーディ（断片）」からのご披露となった。<br />
そして、村田安司作の漫画「動物運動会」、新派劇「探偵活劇　鉄腕記者（か？）」、現存する日本最古の劇場公開アニメ「なまくら刀」に続き、阪東妻三郎主演「お好み安兵衛」が取りをつとめる。<br />
<br />
「汚名返上中山安兵衛、見事仇討ちを遂げたのでありました！」<br />
<br />
本日最後の一声が六甲の山々にこだまし、瀬戸の海へと広がっていく。<br />
<br />
クランクをもちいて晩夏と初秋、日暮れから宵の口まで、明治・大正・昭和の合間をカタカタカタと縫ったひと時。<br />
終映後、名残り惜しさを断ち切って、平成の明かりを灯す。<br />
<br />
途中雨も降らず、無事大団円を迎えた今宵。<br />
帰り際、小寺泰次郎氏がその名前を気に入って植えたともいわれる泰山木（たいさんぼく）に軽く会釈をし、私たちは次の上映会場へと向かった。<br />
<br />
<br />
泰山木の花言葉は、前途洋々。<br />

]]></content:encoded>
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    <dc:date>2008-09-11T01:59:04+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
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    <title>一枚の志 【いちまいのこころざし】</title>
    <description>ベルト穴ふたつ小さくなった私の前に、はらりと落ちた旅券の写真

軽き体はついに平となり、失ったものは贅なる肉か、覇なる気か

規定寸に収まって、ややこわばった真顔の半々

左の半らには、これまでとおりの寝ぼけ眼が

右の半らには、これより十年変わらぬと...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ベルト穴ふたつ小さくなった私の前に、はらりと落ちた旅券の写真<br />
<br />
軽き体はついに平となり、失ったものは贅なる肉か、覇なる気か<br />
<br />
規定寸に収まって、ややこわばった真顔の半々<br />
<br />
左の半らには、これまでとおりの寝ぼけ眼が<br />
<br />
右の半らには、これより十年変わらぬという意志が<br />
<br />
一枚の志、紙飛行機となって飛べ<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-09-01T16:42:49+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
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    <title>引いたらいけた 【ひいたらいけた】</title>
    <description>ずっと、押してもだめだった。

母との電話は、そうだった。

私「もしもし」
母「あら、久しぶりじゃない！」
私「うん。あの」
母「元気にしてる？」
私「うん。あのさ」
母「最近暑いけどどう？しっかりやってる？」
私「うん。あのさあ」
母「今日は仕事だ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ずっと、押してもだめだった。<br />
<br />
母との電話は、そうだった。<br />
<br />
私「もしもし」<br />
母「あら、久しぶりじゃない！」<br />
私「うん。あの」<br />
母「元気にしてる？」<br />
私「うん。あのさ」<br />
母「最近暑いけどどう？しっかりやってる？」<br />
私「うん。あのさあ」<br />
母「今日は仕事だったの？」<br />
私「ちょっとっ！聞いてよっ！！」<br />
<br />
という結末になり、怒鳴ってしまった自分に嫌悪して通話終了となることが多かったのだが、今日は違った。<br />
<br />
私「もしもし」<br />
母「あら、久しぶりじゃない！元気にしてる？最近暑いけどどう？しっかりやってる？今日は仕事だったの？風邪引いてない？ご飯ちゃんと食べてる？こないだ送ったものはどう？足りてる？・・・・・・・・・ごめんね、お母さん喋りすぎたね。どうしたの？」<br />
私「うん。あのさあ、食事でもどう？」<br />
母「そうね」<br />
<br />
だめだった母との電話は、引いたらいけた。<br />
<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-08-01T20:32:31+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
  </item>

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    <title>一ご一え【いちごいちえ】</title>
    <description>フンキザミと綴ったのは先月のこと。

今月はいよいよビョウをキザミ、キザンだ週末にたどり着いたのは、築八十年を数える能楽堂でありました。



能はこれまで幾度か拝見させていただく機会があったが、教養のすくない私にとって、その圧倒的な美しさは感じるこ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
フンキザミと綴ったのは先月のこと。<br />
<br />
今月はいよいよビョウをキザミ、キザンだ週末にたどり着いたのは、築八十年を数える能楽堂でありました。<br />
<br />
<br />
<br />
能はこれまで幾度か拝見させていただく機会があったが、教養のすくない私にとって、その圧倒的な美しさは感じることができても、その世界の奥深くを旅するまではいたる事が出来ずにいた。<br />
<br />
それからニ年ばかり経て、<br />
今、目の前には、ふたたび幽玄の世界が広がっている。<br />
<br />
あれから知識が増えたのかと問われれば、即答は難しいが、<br />
なんだか今宵はいつになく、妙味な心持ち。<br />
<br />
中央で舞うシテに合わせて、<br />
鼓の音が、カンと鳴り、<br />
謡の声が、響き渡る。<br />
<br />
六百年を超える伝統の世界がここに現れた。<br />
<br />
舞はその所作ごとに、囃子や謡も一音ごとに、脈々と受け継がれてきた歴史があり、それらが合わさる瞬間に、私の一瞬もようやく出逢う。<br />
<br />
<br />
<br />
万物すべての出来事は、一期一会の積み重ね。<br />
<br />
カッとキザんだ時の先に、瞬きが響き合う無限の世界がありました。<br />

]]></content:encoded>
    <dc:subject></dc:subject>
    <dc:date>2008-07-20T10:30:57+09:00</dc:date>
    <dc:creator>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:creator>
    <dc:rights>小崎泰嗣　【こざきたいじ】</dc:rights>
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