バーゲン会場にて 【ばーげんかいじょうにて】
今日3月21日は、明治7年(1874年)日本ではじめて運動会が催された日だそうな。

当時、東京は築地にあった海軍兵学寮(海軍兵学校の前身)にて、「競闘遊技会」と銘打って行われたその会は、おもに陸上競技18種目からなる内容だが、私がユニークだと思ったのはその種目、というよりもそれら種目名にあった。

たとえば、

○ 12歳以下の50ヤード(約45メートル)走は、「雀の巣立ち」

○走り高跳びは、「鯔(ぼら)の網越え」

○二人三脚は、「蝶の花追い」

○ 頭上に水桶をのせて駆ける競技は、「須磨の浦の潮汲み」

○ クリケット球投は、「古狸のつぶて打ち」

○ 15歳以上の生徒が10歳以上の生徒を背負い200ヤード(約180メートル)走は、「子持ちザルの立ち退き」

といった具合だ。
(ただし、本来の種目名はすべて漢字で表記されているが、今回はそれに付加されていた読みをもとに、現代の表記に改編してある)

イギリス式のアスレチック(陸上)スポーツを参考にして競技内容が決められたそうだが、それまで習慣がなかった日本男児たち(海軍とあるのでおそらく男子のみの参加だと思う)は、この一同に会しての競い合いを大いに楽しんだことだろう。

ふふ。日に焼けた屈強な青年たちが、ギャーギャ言ってる姿が目に浮かぶ。

いいなぁ。私もキーボードを打つ手をすこし休めて、ちょっと参加してこよう。




〈「競闘遊技会」に参加中。しばらくお待ちください。〉




さて、ひと汗かいたところで、
話はすこし変わるが、ネーミングってつくづく大事だなあと思う。

一見地味に思えるおんぶ競争でも「子持ちザルの立ち退き」と銘打ってやると、参加者たちが本当に親子ザルに見えてぐっと滑稽味や必死さが増す。
「須磨の浦の潮汲み」は海の男らしさや逞しさが増し、「蝶の花追い」にいたっては、春の風にめげずに右、左、パタパタしながら花の蜜に辿り着こうとする可愛いらしさを感じるではないか。

しかし、どうも最近の行事や娯楽は、予算や規模の大きさといったハード面ばかりに目がいきすぎて、人間は本来どういった事に興味をもち、想像を膨らまし、興奮をおぼえるかといった部分が置き去りにされつつあるような気がしてならない。

本当に面白いことは、すべて自分の頭の中、もしくは身のまわりにある、と思う。

その証拠に、子供の頃、ほんの僅かなお小遣いしかもらってなかった身でありながら、その日々はうんと刺激的で、楽しく不思議なことだらけではなかったか。

また逆に、自分の意思や好奇心、活力などがついていかないと、いくら大金を注ぎ込んで遠くの地を旅したところでどこか実感や開放感に欠けるところがあり、結局は家にいる時となんら変わらない気分になってしまった事はなかったか。


ちなみに私は子供の頃、ニベアハンドクリームの缶のフタに「バリタンク(当時の戦隊ものの戦車の名)」と母親に書いてもらって、それを操縦機器に見立て右に左にひねってばかりいました。それはそれは刺激的な日々でした。




※余談ですが、今回のタイトルは運動会の名物競技「綱引き」の、私が考えた別名です。30点。

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