云鬼 【たましい】
   そ   木幾   月危   木幾
   れ   木戒    く   木戒 
   で    に   イ夢    の  
   も    な    く    よ   
  青争    れ   シ肖    う 
   か    ず    え    で
   の   糸冬    た    あ   
  シ毎    い    の    り  
   を    の    で    た 
  光軍   土鬼    し    い  
   き    は    た    と 
  シ票     、       原頁 
   う              う
                 云鬼
                  は
                   、
  

| - | 00:17 | - | - |
黄な子 【きなこ】
誰かの落っことした黄色い絵の具

待てよ、私が拾わずともよいのか否か

だからといって、

あはれに思って拾ったところで、知らぬまに固まってしまうのがおち

ここがきっと思案のしどころ

いきおいよく踏んづけて、道に黄色い花咲かせるか

こだしに点々しるしをつけて、誰かをどこかへ案内するか

いやそれよりも、

両手をしっかり黄色に染めて、

私はここから生まれてきたと、嘯くのがちょうどいい

身体中を黄色に染めて、

こんな具合に生まれてきたと、鳴いてしまうのがちょうどいい

| - | 23:05 | - | - |
みがきましょう 【みがきましょう】
あしたは靴をみがきましょう

晴れたら芝生の真ん中で

雨なら椅子に腰かけて

これまでの道を慈しみ

これからの道に思いを馳せて


あしたは靴をみがきましょう

色が褪せてくる前に

皺がひびてくる前に

私の重みを堪える所に心して

私の裏と星の表がくっつく所をよおく見て


あしたは靴をみがきましょう
| - | 03:17 | - | - |
はじめてのフィルム 【はじめてのふぃるむ】
ようやく訪れたこの瞬間
深呼吸して白手袋を両の手に
今、映写室中央のオートリワインダーの前に立つ


巻ごとに分かれて到着したフィルムを、一本に繋ぎ合わせる作業がフィルムメイキング。
わたしの中では、映写業務の花形作業だとおもっている。
リーダーからはじまって、ブルーマイラーとよばれるクリアフィルム、光を透過しないブラックマイラー、トレーラー(予告編)、パルスつきブラックマイラー、サウンドロゴ、ハードロックトレーラー(本編にもとから付属されている予告編)、そして本編、とつづく上映フィルムの構成や、その扱い、スプライス(接合)の正確さ、などなど複合的な技能を要するからだ。


黄色のスイッチを押す
ゴォンゴォンと動きだす円盤
やや震える指をフィルムの端にあて、息を潜めて目を凝らす

まだキセノンランプで照らされぬ、フィルム本来の美しさ
闇よりも濃い黒が、透明度の高い彩りが、ここに流れる

幾倍にも拡大されるその前の、純度の高い一コマは、もはや、
芸術という域を超え、魔術に近い存在感をもっている。

フランスで映画が発明されてから、これまでに何百、いや何万回と、世界中で行われてきたフィルムメイキング。
私にとっては、いま手のひらを流れる「ブーリン家の姉妹」が、はじめての経験となる。


今、手の中に、ヘンリー8世が現れたような

今、アーチのむこうに、テューダー朝の雑踏が見えたような

そして今、黒髪の女性が振り返り、私を見つめて、去っていった

10台の映写機が巻き起こす、風の渦の真ん中で、わたしは今日、時代と国を超えてアン・ブーリンと出逢ったのであった
| - | 09:30 | - | - |
綻びの美 【ほころびのび】
秋晴れの朝、やや早起きしてシャツの穴あきをとり繕う。
夏の木の葉よりも落ち着いた、秋の落ち葉よりは鮮やかな、緑のフランネルの肘の穴。

小学校家庭科以来の縁取り縫いは、
記憶のひだに隠れていた彼の先生を思い出す。

「少々不細工だが、まあ合格。」

心にゆとりある時の縫いは、たいてい上手くいく。



右肘の 彼の仕業の綻びを 吾が事として そっと繕う
| - | 09:33 | - | - |
着々 【ちゃくちゃく】
兄のおさがり・小中高の学制服・水泳の水着・少林寺の道着・鉄工所の工場着・和食屋の割烹着・喫茶店のエプロン姿・回転寿司屋の白衣・墨国料理のユニフォーム・ショーパブの黒づくめ・舞台の衣装・警備員の制服・おもちゃ屋は私服・キャラクターの着ぐるみ・TV局の動きやすい格好・ビデオ屋のシャツネクタイ・ホテルの蝶ネクタイ・バレエのタイツ・ティーサロンのサロン・司会の正装・レンタカーの上下・ギャラリーのスーツ・プライベートの浴衣・映画館のつなぎ・能楽堂の紋付袴・活動弁士のシルクハットに燕尾服・今はパジャマ
| - | 01:44 | - | - |
靴見泣質 【くつみてなくたち】
船が沈没する映画では泣かなかった私だが、靴を見て泣いたことがある。

靴は泣ける。

いや、どんな靴でも泣けるわけではない。

おすすめは、聞いたことないメーカーのスニーカー。
これを中年の紳士が履いていたりなんかすれば即時、号泣できる。

何故泣けるのか、
これを突き詰めると、結構奥が深い。

まず、スニーカーであること。

これから動くと決めた者のみが手にする、もとい、足にするアイテム。
この先行き不安なご時世に、まだ動く、すなわち、まだ生きると決めた意思が大いに伝わってくる。

次に、聞いたことないメーカーであること。

製造国不明。強度も品質も保証されていない物に、我が身を委ねるその心意気。
または経済的限度の有無。

最後に、中年であること。

その身に迫る老化を感じつつ、上記もろもろに抗う強さ、儚さ、それから希望。

一度、父親の安全靴を肴に泣きを試みた。
一見、泣ける要素が多分に含まれていそうだったが、いまいち泣けなかった。

となると、挙げた3つの要素の中で、スニーカーであるというのが一番大事だということが分かる。

安全靴は、おもに仕事の時に履く靴である。
それに引き換えスニーカーは、運動するとき、のんびり散歩するとき、仕事するとき、などなど用途が多岐に渡り、それだけに複合的な「生きる」というメッセージが伝わってくる。

こう考えてみると、靴とひと言に言ってもたくさんの情報がつまっているものである。

よく、一流のホテルマンは客の靴を見てその人を見るというが、
それはつまり、値段の高い靴を履いているかどうかをみているのではなく、その人のこれまでとこれからの意思が如実に現れている判断材料をチェックしていたのだ。

安い靴でも大事に履いていれば、物を大事にする人だということが分かり、
ワンシーズンのみで廃れてしまいそうなデザインだと、その人のお金の使い方が見えてくる。

では服もそうかといえば、必ずしもそうではないように思う。

少しはそういった(靴と似たような)事が分かるかも知れないが、服はその耐久年数が短すぎて、情報(真実)が紛れてしまいがちである。

腕時計なら近いところもあるが、誰もが必要とするアイテムではない。また袖に隠れて見えづらい。


ま、そういうわけで、靴は泣ける。
| - | 23:37 | - | - |
□ 【しろのしかく】
あちら立てればこちらが立たず、縦糸だけでは布地は織れず

首傾げつつ、再び琴線を横糸にする

暗闇に丁度の白が広がるのであらば
| - | 20:34 | - | - |
相楽園 【そうらくえん・あいたのしむその】
雨あがり、日は沈み、遠く聞こえる商船の汽笛と相まって、カタカタカタと映写機が廻りはじめた野外上映会。

会場は、神戸・元町近く、明治時代に財を成した小寺泰次郎氏の邸宅として造築、その後神戸市に譲渡され、現在まで続く日本庭園・相楽園。

神戸といえば、知る人ぞ知る、映写機の前身といえるキネトスコープが日本で初公開された地で、実際、この相楽園から数十メートル下った所に、初公開の会場となった名士達の集う社交場・神港倶楽部があったとされている。

これは憶測だが、当時この界隈で一、二を争うほどの影響力を持っていた小寺泰次郎氏は、その初公開の場に居合わせたのではと思われる。

それから約110年の時を経て、幻燈機や種板、手動式映写機にフィルムを持ってこの地を訪れた私たち。

小寺家御用達の馬車が現在でも大切に保管されている、煉瓦造りの厩舎前に集った方々に、文明開化、明治の雰囲気を少しでも感じていただこうという想いがあった。

「まずご覧に興じまするは、遥か遠き米国より届きましたフヰルムでございます!」

演目は、厩舎前という会場にちなみ、馬車の登場する作品「ハロルド・ロイド主演 スピーディ(断片)」からのご披露となった。
そして、村田安司作の漫画「動物運動会」、新派劇「探偵活劇 鉄腕記者(か?)」、現存する日本最古の劇場公開アニメ「なまくら刀」に続き、阪東妻三郎主演「お好み安兵衛」が取りをつとめる。

「汚名返上中山安兵衛、見事仇討ちを遂げたのでありました!」

本日最後の一声が六甲の山々にこだまし、瀬戸の海へと広がっていく。

クランクをもちいて晩夏と初秋、日暮れから宵の口まで、明治・大正・昭和の合間をカタカタカタと縫ったひと時。
終映後、名残り惜しさを断ち切って、平成の明かりを灯す。

途中雨も降らず、無事大団円を迎えた今宵。
帰り際、小寺泰次郎氏がその名前を気に入って植えたともいわれる泰山木(たいさんぼく)に軽く会釈をし、私たちは次の上映会場へと向かった。


泰山木の花言葉は、前途洋々。
| - | 01:59 | - | - |
一枚の志 【いちまいのこころざし】
ベルト穴ふたつ小さくなった私の前に、はらりと落ちた旅券の写真

軽き体はついに平となり、失ったものは贅なる肉か、覇なる気か

規定寸に収まって、ややこわばった真顔の半々

左の半らには、これまでとおりの寝ぼけ眼が

右の半らには、これより十年変わらぬという意志が

一枚の志、紙飛行機となって飛べ

| - | 16:42 | - | - |
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      
<< November 2008 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ ARCHIVES
+ PROFILE
+ OTHERS
このページの先頭へ